婚活難民田中、只今迷走中!

週末引きこもりのアラサー女・田中。金曜夜は食料買い込み、月曜朝までごろ寝する。しかしこれでは本気でマズイと、自らムチ打って結婚相談所へ飛び込んだ。                                     

柳田氏の登場の仕方にびっくり その3

 

 ご両親を何歳の頃に亡くされたのかわからないが、もし田中が同じ立場なら、亡くした後しばらくは結婚について考える余裕はないだろう。ましてや婚活にいそしむ気力も湧いてこないだろう。39歳まで結婚されなかった理由は色々とあるだろうが、ご両親のことがあったからかな、と考えてみたりもした。

 

 柳田氏とは時間を置くことなく、メールのやり取りが進んだ。ビルとマンション管理をされているため、比較的自由に時間を使うことができるのだろうか。なかなかつかまらない方よりは良い。早速お会いすることになった。

 

 既に交換している写真を拝見すると、柳田氏はひょろりとした細身で、体脂肪なるものは持ちあわせていないように思える。身長174センチで体重が55キロとプロフィール欄にある。

 

 その日、田中の仕事帰りの19時に待ち合わせをしていた。

和食のお店を予約しておきます、と柳田氏はおっしゃってくださっていたため、お任せしていた。その日は、ある駅の改札を出た噴水広場の一角で待ち合わせをしていた。きっと改札を通ってこちらにいらっしゃるのだと思い、改札の方をずっと眺めているとメールが届いた。「田中さん、後ろにある交差点を渡ってバス停の方に向かってきてくれませんか?そこにいます」とのことだった。なぜそんなところに?と思ったが、そちらに向かってみると車の窓から腕を出し、ヒラヒラと手を振っている人が見えた。田中の後ろを振り返ってみると、他にも通行人はいたが、それは明らかに田中に向けられたものだった。約束の待ち合わせ場所から、てっきり電車で来られるのかと思っていたため、車での登場は予想しておらず、また写真から勝手に想像していたおとなしそうな雰囲気とは違って、田中はびっくりしてしまった。

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