小椋氏のお母様に、頭のてっぺんからつま先まで観察された その9
勝手なイメージとは真逆の、上品な雰囲気のあるお母様が車から降りてこられた。田中も会釈をして、近づいてから名乗り、ご挨拶をした。「急に呼び出すような形になってごめんなさいね。今日、出かけていましたので、帰りはここで息子を拾って車で一緒に帰ろうと思いまして・・」といったようなことをおっしゃっていたが、あまりよく覚えていない。急にお会いすることになったので、まだ少しパニック状態だったのかもしれない。
「息子がね、婚活をしていて初めてなの、あなたの話を嬉しそうに・・ しかも本気になっているのがわかって、どうしても田中さんに一度お会いしたいと思って、先日はウチに来てくださいなんて言ってしまって・・・。気が早くて、ついそんなことを言ってしまってごめんなさいね」とおっしゃった。
小椋氏のお母様は感じが良く、身構えていた田中は拍子抜けしてしまったくらいだ。「いえ、こちらこそ・・・ せっかくのお誘いをまだ早いと思い、お断りしてしまって失礼しました・・」というようなことを伝えた。そう話しながらも、お母様は田中の頭のてっぺんからつま先まで、じーーーっと見ていることに気がついた。
小椋氏は二人の会話を恥ずかしそうに聞いてはいたが、特に何を話すでもなく、立ち話でもあったし、田中は「それではここで失礼します」と言い、その場を離れようとしたところ、「近くまで車で送りますので、是非乗ってください」とお母様に言われた。
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