迷ったが、もう一度お会いしてみることに その13
柳田氏との初回では、きっとお互い緊張もあって、あまり会話が弾むこともなかったのだが、そういうこともあると考えることにした。だんだんと時間が経つにつれて、お互い自分を出し合えるのではないかと、そのためにはもう少し時間をかけて知り合っていくことも大切だと判断し、柳田氏からのお誘いをお受けすることにした。車好きな柳田氏、やはりドライブときたか・・ まだ一度しか会ったことがないので、運転席と助手席のあの近い距離に長時間座るのは苦痛かもしれない・・
初めてお会いした日、待ち合わせ場所に現れた柳田氏は、好きな車に乗っていたからか、やや強気な印象を受けたのだが、その後の食事の席では打って変わっておとなしく、まるで人が違うかのような印象を受けたことが気になっていた。その点を検証するべく、田中は昼間の数時間だけ、カフェへ行って帰ってくるくらいの乗車なら、と考えを改め、応じることにした。
当日、前回と同じ駅の改札を出たところにあるバスのターミナル付近で待ち合わせとなった。前回と同じ明らかに高級な車で現れた柳田氏は、窓から腕を出して「おーい」といった動きをしてみせた。田中は車に近寄り、柳田氏は中からドアを開けてくれた。挨拶をしようと少し上体をかがませた瞬間、黒いサングラスをかけていた柳田氏にびっくりしてしまった。
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