もっとポジティブに捉えたいのにできないもどかしさ その5
こうして思い出しながら元彼女さんのことを話す山浦氏を見ていると、まだその方のことを忘れられないのではないか、とか、まだ好きなのだろうな、と感じてしまい、その日は田中の気持ちが激しく揺さぶられてしまった。
どうやら35歳を機に山浦氏はその方と結婚をしたかったようなのだが、彼女さんのほうが新たに別の国へ赴任することとなり、そのチャンスをどうしても断ることができず、結婚よりも仕事を優先されたようなのだ。その後も離ればなれの生活が続くようならばと、山浦氏から別れを切り出したようなのだが・・ そう話しながら山浦氏は未練があるように田中は感じた。
こんな話、聞きたくなかった・・ 山浦氏との今後を期待していた田中は、その女性との長年に渡る親密ぶりに妬いてしまっていた。そこに割って入れるわけでもなく、もう別れているのだからそんな話はしてほしくなかった。今後、山浦氏と進展することができても、常にその女性のことがチラついてしまう。もう今は別れているのだからむしろラッキー、ぐらいに思えたらいいのだが、残念ながら田中はあまりそういうタイプではない。
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