バイキングでの食事を終えて その6
90分のバイキングだったこともあり、あと15分で時間です、とお店の方が伝えにきてくれた。
初対面でまだ慣れない間は、こうして終わりの時間を区切ってくれた方が、帰り際の切り上げ方について悩まなくて良いなと思った。
二人でその屋上を後にした。立ったり座ったりで、あまりよく話すことができなかったこともあり、長野氏の提案でこの後、少し近くを散歩することにした。
そこは都会のど真ん中にある百貨店だったが、少し離れると川が流れており、その川沿いを歩くことにした。行ってから気がついたのだが、そこはやたらとカップルが多く、20時を過ぎていたこともあって周囲は暗く、いちゃいちゃしている男女がたくさんいた。
ちょっと場違いなところに来てしまったな・・と思いながらも、お互いの仕事や家族、結婚観などを話した。
気を許したのか、ここでも長野氏は職場の同僚の愚痴を話し始めた。でも、怒りや感情的な愚痴とは違って、なんだか辛そうだ。八方ふさがりの状態なのか、聞いていて田中も切なくなってきた。励ますような言葉も、状況をよく知らない田中が口にするのもよくないと思った。
その日は30分くらい散歩をして、別れた。
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