自分に無いものを持つ相手に憧れる その5
斉藤氏とお店に入り、飲み物を注文した。
その間、斉藤氏が「僕は背が低いので、高い女性に憧れます。実際、今までも好きになったのは背が高い女性ばかりでした。」と恥ずかしそうにそうおっしゃった。
斉藤氏との身長差を気にしていた田中は、ふっと肩の力が抜けたような感じがした。お世辞かもしれないが、嫌ではないのだと思えて安心した。
おとなしく、あまり目立つタイプではない斉藤氏。続けてこんなことを話し始めた。
「僕は、自分にないものや足りない部分をよく分かっているので、その分、そういったものを持っている方に憧れ、好意を持つことが多いと分析しています。田中さんは、そういうことは無いですか?」
いやいやいや・・・ 眼科医として立派なご職業に就かれている斉藤氏、そんな謙虚なことをおっしゃるとは。
田中からすると、もうすでに多くの人が望むようなものを斉藤氏は手に入れているではないか。
そういうようなことをお伝えしたが、どこまでも謙虚である。田中もよく考えてみると、確かに自分にないものを持つ人に憧れる気持ちはある。自分にないからこそ、また自分ができないからこそ、「すごい!!!」と思う気持ちが湧き起こり、恋愛に結びつくことがあるとも思えてきた。
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