次の約束につなげることはできたけれど その5
お互い読書が好きということもあり、初回後半はとても楽しく過ごすことができた。青木氏にまた会いたいと素直に思い、初対面のその日、帰宅するまでに次の約束をしておきたいと思った。あまり乗り気で無ければ、青木氏のそういった感情を読み取ることができるだろう。別れてからメールで聞くよりも、会っている間に聞いてしまおうと思った。
「青木さん、また今度、会っていただけますか?」と単刀直入に聞いた。すると青木氏は、困惑するような表情もせず、「ええ、はい。私なんかでよければ・・こちらこそよろしくお願いします」と丁寧な返事をしてくれた。
返事の仕方が青木氏らしいと思った。返答に戸惑うようならば、それなりにあきらめないといけないかと思っていたが、こちらこそとおっしゃってくれたことで、次回会うまでの期間の安心材料となった。次の約束をせずに帰宅をすると、どう思われたのか、次もまた会えるのかどうしても気になってしまって落ち着かない。
初めてお会いした翌日の朝、お礼のメールをした。そして、食事中に教えてもらった小説を早速読んでみたいと思い、アマゾンでネット注文をしてみた。おすすめの本を紹介しあうことができるのは本当に楽しい。それに、青木氏の気に入った本を読むことができるのも嬉しい。そんなやり取りをしながら、次の約束の具体的な話をしていきたいと思っていたのだが、田中のメールに返事はなく、その後、一週間、また一週間と経っても青木氏から返信は無かった。
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