そういうことだったのか その15
すでに青木氏のことが気になり、好きになっていた分、他の方と正式に交際することになったというこのメールには堪えた。翌日の水族館へ行くことを楽しみにしていただけに、一気に奈落の底へと突き落とされた。
借りていた文庫本7冊を返そうと、お礼に市販の可愛くラッピングされたクッキーの詰め合わせを用意していたのだが、もう手渡すことができなくなった今、自分で食べる気すら起こらない。青木氏の元に戻ることができなくなってしまった文庫本7冊を眺めていると、取り残された自分の姿と重なり、同情してしまった。
そうか・・
今まで青木氏とお会いしても、その後、メールの返信が途絶えたり、思い出したかのように返信があったり、なかなか次の約束の話とならなかったのは、本命の方がいて、その方との調整があったからだろうか。それにしても、その方とお付き合い寸前までコマを進めていたとは。。。その隙間を埋めるかのように、田中との時間を作ってくれていたのだろう。そういう存在がいながらも、田中との三回目の約束をされていたのは、紛れもなく保険扱いだったのだと身にしみて感じる。
婚活なので、お付き合いに至るまではみんなこのように同時進行していることだろう。早くこのシステムに慣れなければ、という思いと、なんだか自分がみじめに思えてきて、もう青木氏に会えない悲しさと、自分は本当に結婚できるのだろうかという不安に押しつぶされ、自分でもびっくりするぐらい泣いてしまった。
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