岡田氏の浪人時代の話 その5
田中のことをじっと見ながら、仕事の面接官のような口調で質問が始まった。
田中が大学生のときに専攻していたものについて、なぜそれを選んだのか、今の仕事についてもなぜ選択したのかなど、とにかく一つ一つ「なぜ」「それはどうしてですか」と理由をたずねてくる。まるで尋問されているみたいだ。
そしてそれらに答えても表情を全く変えず、会話をつなげることもなく・・・
本当に血が通っているのかと聞きたくなるくらい表情が無い。その場に一緒にいるのもぎこちない感じがしてきた。
でもせっかくの機会だ。
田中も岡田氏に質問を投げかけてみる。
どうやら京都大学は一年浪人後、入学されたらしい。
その一年間の浪人時代、予備校に通いながらパチンコばかりしていた、と少し人間味のある話をしてくれた。
今までのぶっきらぼうで冷淡で無表情な岡田氏は、もしかして緊張していただけかもしれない。それに人見知りする方なのかもしれないと考えてみることにした。
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