田中の似顔絵をプレゼントされて その3
なんと初めてお会いしてすぐに、「田中さんにサプライズです」と言って手渡されたものは、鉛筆でデッサンされた似顔絵だった。
えっと・・ これは一体・・
何か返す言葉を探していると、「それ、オーネットの掲示板を通して交換した田中さんのプロフィール写真を見て描きました。実は僕、子供の頃に近所の絵画教室に通っていたことがあって、久しぶりに描いてみようと思って。田中さんの写真を見ながら、田中さんのことを考えながら描きました」と言われた。
既に好きで付き合っている者同士ならば、こういうプレゼントは嬉しいかもしれないが、初めてお会いした男性から、田中の写真を見て描いた、しかも考えながら・・と言われると正直ゾッとした気持ちになってしまった。それに、プロフィールを交換することで、お互いの顔写真を見ることができるのだが、描いている間、そのページをずっと開けたまま、何度も見ながら描いたのかな、と思うとまたゾッとしてしまった。しかも、「サプライズで」とおっしゃっている。本来なら、驚いて喜びを露わにしなくてはいけない場面なのかもしれないが、田中は言葉を失っていた。
服部氏はというと、そんな田中の気持ちを察するでもなく、「喜んでくれたかな?」と少し照れくさそうに聞いてきた。
こんなプレゼント、一体どうしたらいいのだろう。手作りで気持ちのこもっているものを頂いて、こんなに困惑したことはない。
でも、服部氏の「相手を喜ばせたい」という気持ちには感謝するべきだと思った。
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