待てども現れない田川氏に連絡をしようとすると その3
待ち合わせ場所で待っても田川氏は現れないため、約束の確認も含めてオーネットの掲示板にログインしてみた。メッセージの交換をしている方々はリストに表示されるのだが・・ なんと田中は田川氏にブロックをされていたことがこの場で判明した。今朝の段階では、ブロックはされていなかったのに・・ この日会う約束をしたのはちょうど一週間前だった。それから気が変わったのか、どなたかと交際することになったのかは分かりかねるが、いずれにせよ、一言連絡をいただけたらこんな待ちぼうけをくらうことはなかったのに・・ そんな気持ちがこみ上げてきた。
なんともやり切れない思いを抱きながら、とぼとぼとその場を去った。
帰りの電車の中で座っていると、田中の向かいに大学生らしき男女が座っていた。彼女の方が、何があったのかわからないがお腹を抱えて笑い転げている。その姿を見ていると、あんなにお腹の底から笑ったことって最近ないな・・と思った。そして、無邪気に笑い転げている姿がまぶしく映った。
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やはり人気なのだろうか、公務員 その2
田中の知り合いに公務員の方がいるのだが、職場の男性は結婚が早く、逆に女性は経済的な安定があるからか独身の方が多いというようなことを聞いたことがある。地域差や偶然の結果でもあるかとは思うが、そのような傾向があるのかもしれない。
そのようなことを考慮してみても、安定を好む女性陣から婚姻歴がない田川氏は引く手あまたなのではないかと推測する。田中の職場にも「結婚相手は公務員がいい」と豪語している女性がいる。
田中はそこまでお相手の職業にこだわりはないが、一昔前の終身雇用制度が崩壊しつつある昨今の状況を考慮すると、やはり公務員は人気なのかとも思える。
田川氏からのお誘いに応じ、一度仕事帰りにお会いすることになった。プロフィールの写真からは、真面目そうで素朴な印象を持った。
お会いすることとなったその日、待ち合わせ場所の駅の目印となる時計の近くで待っていたのだが、田川氏は一向に現れない。途中で何かあったかな、と思ったりしながら10分、15分・・と時間が過ぎていく。もしかして待ち合わせ場所を間違ったかな?今日ではなかったか?と、段々と自分の勘違いだったかもしれないという思いがしてきた。田川氏とは、個人的なメールアドレスや電話番号は交換しておらず、オーネット専用の掲示板を利用して交流をしていた。いざとなれば、ここを通して待ち合わせ当日も連絡をとることもできるため、お会いするまでの間に田中から個人的な連絡先をたずねることも、田中のそれを差し出すこともしていなかった。今までは、男性側が何かあったら連絡してくださいと電話番号やメールアドレスを事前に教えてくださっていた方が多かったのだが、そういえば田川氏からは教えてもらっていなかったな・・と、その日、待ち合わせ場所で思い出したくらい田中はのんびりとしてしまっていた。
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地方公務員の田川氏(37歳)その1
婚活で出会った方と進展もなく終わった際、「はい、次!」となかなか思えないときがある。このオーネットの検索画面に再び戻れば誰かに出会える、という思考パターンができあがってしまうのはとても危ないと感じている。確かに登録されている男性の方々はいるのだが、自分を結婚相手として考えてもらえるかはまた別の話で、「はい、次!はい、次!」と、まるで物をとっかえひっかえするようなことに慣れてしまっては良くないと感じているのだが、そうも言ってはいられない、という焦りも感じている。
田川氏は、水道局にお勤めの公務員。最終学歴は高卒となっている。地域差や職種にもよるが、公務員の試験は受験者数に対して採用枠が極端に少ないと認識しているため、公務員に採用されている方々は狭き門をくぐり抜けたということに対して、すごいなあと思う気持ちがある。
何度かメッセージを交わし、詳細プロフィールを交換しあった。田川氏のお父様は既に亡くなられているようだ。ご兄弟はおらず、現在もお母様と二人でご実家に暮らしているようだ。そのことについて田川氏より、このようなメッセージをいただいた。「うちは子供のころに父親を亡くしたので、女手一つで母が私を育ててくれました。そういうこともあり、早く自立をしたく、高卒枠の公務員試験を受けて今に至るのですが、今の時代、高卒ということで女性の方々は気にされるかもしれませんが・・ もしよろしければ一度会って頂けませんか?」
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