メーカー勤務のエンジニア 内海氏(38歳)その1
内海氏とオーネットの掲示板を通してメッセージのやり取りが始まった。
お互いの詳細プロフィールを交換し合い、内海氏の写真からは30代後半には見えず、実年齢より若く見える風貌だ。短髪にされて、髪を少し立たせているからだろうか、とても爽やかな印象を受けた。
ひとたび内海氏とメッセージのやり取りが始まると、そのときは何往復か交わすのだが、そのあと、個人的なメールアドレスの交換や、今度会いましょうという話にはならない。そして10日ほど間があいて、ふと思い出したかのようにまたメッセージをいただいたり、二人のやり取りはそのような感じだったため、田中から声をかけてみるべきかと思うのだが、なんとなく田中のことは本命ではないのだろうなと感じていた。
そのような間隔でのやり取りだったため、他の方々との交流もあり、このまま自然に終わっていくのかと思っていた矢先、再度内海氏より連絡があり、なぜか今回は急展開で個人アドレスの交換を果たし、会う約束をすることになった。
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お会計にて、見たくなかったが その7
しかし、待ってもなかなか出てこない小島氏のことが気になり、そっとお店のドアに目をやると、どうやら小島氏は領収書を書いてもらっているようだった。その晩の食事代を経費で落とそうと考えているのだろうか、と思ってしまったが見なかったことにした。数分経ってお店から出てこられた小島氏とはそこで「では」という感じで別れた。
翌日、その晩の御礼も含めてメールをしたのだが、小島氏からは返信がなかった。
そして数日後、オーネットの掲示板を見てみると、なんと小島氏はどなたかと交際を始められたのか、もしくは何かの用事だろうか、休会を知らせるマークに変わっていた。
お会いした数日後には休会になっているなんて・・ きっと田中と会っていたときには既に休会することを決心していたはずだ。「誘われたし、ちょっと会っておこうか」くらいの気持ちだったのでは・・と、そんな悪いことを考えてしまったが、あながちそんなところかもしれない。真相はわからないまま、小島氏ともはかなく終わってしまった。
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興味を持たれていないことを肌で感じる その6
小島氏と初めてお会いした日。田中は小島氏のお仕事の話など、とても興味深く感じられ、またハキハキとした小島氏の明るい感じにも好印象を持った。だが、途中くらいからだろうか、あまりはっきりとは顔には出さないが、なんとなくこちらに対してはあまり興味を持ってもらえていない感じがしていた。だんだんと相づちもおざなりな感じになり・・ 小島氏は時折、腕時計をチラッと見ていることを田中は見過ごさなかった。退屈されているのだろうか、もう早めに切り上げたいのだろうか、とそんなマイナスなことばかり考え始めてしまった。
そんなことを思うよりも、今まさにこの場面を楽しく過ごせるよう努力するべきところを・・ そういう仕草が目に付くと、田中はどうしても気にしてしまうところがあり、余計に自分の言動に気をつけなければと思い、ガチガチになってしまう。
気がつけば二時間くらい経っていただろうか。「そろそろ・・」と、そんな雰囲気になり、どちらかというと小島氏から切り上げられたような気もしたが、一緒に会計へ向かい、約7000円くらいだっただろうか。小島氏は「田中さんは3000円でいいですよ」とおっしゃってくださった。小島氏はその額を受け取ると、「田中さん、良かったら先に出て待っていてください」と言われた。出入り口が混雑してもいけないため、田中も「それでは先に出ておきますね」と伝え、お店を出たところで待っていた。
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