斉藤氏にまた会いたいと思い、お誘いのメールをしてみたら・・・ その9
初対面の日は、いろんな物事について話し合うことができ、また、斉藤氏の堅実なところにも惹かれた。いつも思うのだが、会ったその日の内に次の約束ができると、少し安心する。が、会っているときに田中からは、相手の方に次の話をすることがまだできない。なんだかガツガツしているようだし、ものすごく焦っているみたいと思われてしまうのではないかと、余計なプライドが邪魔をしてしまう。もっと自分から、積極的にならなくてはいけないことはわかっているのだが、同時に相手も田中のことを判断しているわけで、次の約束を急かして取り付けるのもどうかなと思ってしまう。内心、ものすごく焦っていて、お会いした後には「どう思われたのかな」と考えてしまうし、他の女性たちとも同時進行で会っているのか気になる。もしそうだとしたら、自分は今、何番手くらいに着けているのだろうか、とも思う。
斉藤氏とは次の約束の話は出ないまま、その日は別れた。
このまま自然消滅してしまったら嫌だと思い、自分から次回のお誘いメールを送ってみた。
最近、二人の住む地域にオープンしたばかりの、図書室のようなカフェがあり、自由に本を手にとって読むことができる。そこでカフェをするのはどうかと思い、メールを送ってみた。
ドキドキしながら返信を待っていると、斉藤氏から返信があった。
「田中さん、昨日はありがとうございました。休会を経て、これからはより多くの方々に会ってみたいという気持ちが強いです。田中さんも納得のいく方とご結婚されますようお祈りしています。」
・・・ またもやお祈りメール・・ 就活生の気持ちが痛いほど分かる。
お祈りメールは、ソフトな感じはするが、ばっさりと断ってくれている。勇気を振り絞ってお誘いメールを送っただけあって、田中は斉藤氏の返信によって奈落の底に突き落とされた。
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