「今から電話をしてもいいですか？」その３
まだお会いしていない橋本氏。初回でハイキングはいかがですか、と聞かれたが、それはもう少し仲良くなってからが良いと判断し、どこか仕事帰りにでもカフェへ行きませんか？と提案してみた。
すると、田中の質問には回答はなく、「今から電話をしてもいいですか？ 電話番号を教えていただけませんか？」というメッセージが届いた。橋本氏とはプロフィールの交換も終えているが、この時点ではまだお互いの名字しか知らない。もし一度お会いして、その後の発展が見込めないこともあるし、現段階で個人的な情報を伝えることに少しためらってしまった。まれに、プロフィールを交換した時点で下の名前やLINEのID、電話番号を教えてくださる方がいるのだが、一度会って終わりになる可能性も考慮すると、この時点では避けておいた方がいいと思う。
が、ボルダリングもハイキングも断っており、電話番号もとなると全て断り続けて申し訳ない気もしてきた。少しは歩み寄らなければいけないかという気持ちが勝り、あれこれ考えてしまったが、少しだけ話してみようと思い、電話番号を伝えた。
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初回のお誘いの内容がワイルドすぎる その２
橋本氏が楽しんでされているボルダリングに誘って頂けるのは本当に嬉しい。ボルダリングを否定するつもりは全くないのだが、テレビで見た限り、岩のような壁面を登っていく過程で、右手はこっち、左手はあっち、足も同様にちらばり、壁面にはりつく姿を初対面、もしくはそれに近い異性に見られるのは恥ずかしいと思ってしまった。真剣にこの競技に取り組む姿は美しいが、田中のように試したことがない者が婚活でチャレンジしないほうが無難だと思う。もっと仲良くなってからでも遅くはないだろうと思い、そのお誘いにはやんわりとお断りさせていただいた。その代わり、初対面でもあるので、まずはカフェかお食事だけでもいかがですか、とメールをしてみた。すると、「田中さん、折角なので外へ出かけませんか？ 景色が良くて、ゆるやかなハイキングコースがあるのですが、そこへ散策に行きませんか？ 僕はよく、ハイキングや登山へ行くのですが、お昼ご飯も簡単ですが、僕が用意していきますので、田中さんは動きやすい服装と歩きやすい靴で来てください」という返信をいただいた。
お昼ご飯まで用意してきてくれるなんて・・・ ありがたすぎるのだが、まだお会いしたことがない方とハイキングは・・ ボルダリングを断ったのも、初対面でそういうのはまだちょっと・・という思いがあった。汗で化粧が流れ落ちてしまうのも恐怖である。どちらもある程度仲良くなってからのほうがよくないだろうか。初回はお茶か食事にしたいという思いをうまく伝えることができなかったことがもどかしい。橋本氏はスポーツ好きとだけあって、とてもアクティブでアウトドア派のようである。そしてあまり細かいことをいちいち気にするようなタイプではなさそうだ。
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スポーツ好きな団体職員橋本氏（３７歳）その１
オリンピックを観ていると、最後まで諦めずに闘う姿勢に感動し、連日、勇気をもらっている。先日のショックから立ち直るには時間がかかるかもしれないと思っていたのだが、日本人選手たちの勇姿に励まされ、落ち込んでばかりでは何も始まらない、前進あるのみ、と思えるようになってきた。
少し前に交流申請をいただいていたのだが、気が回らず、返信できていなかった橋本氏とメールのやり取りを始めた。橋本氏はスポーツ観戦が趣味ということもあり、田中もサッカー、野球、マラソン、水泳、バレーボール、レスリングと観戦するのが好きで、そういう話で随分と盛り上がった。
ある程度、趣味や興味の対象が似ていないと、なかなか次のステップへと繋げていくことが難しいように最近は感じる。
「田中さん、ボルダリングってご存じですか？」
橋本氏からこのような質問があった。
ボルダリング・・ 以前テレビで見たことがあるあれかな。「手や足をかけながら岩を登っていく、あのことですか？」「そう、それです。最近、僕はボルダリングができる施設を見つけて通い始めたのですが、すごく面白いですよ。田中さんも一度、一緒にいかがですか？」
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