アウェー感が半端ない その６
南氏ご一家は、そのドッグランの施設の会員とのことで、その日利用するための手続きは簡単に終わり、犬をケースから出して準備をされている間、どうやらここへ来るまでの間、お父様はあるスポーツジムへ行かれたようで、そこで起きた話を南氏に話していた。内容はよくわからなかったが、継続するにあたって料金の改定があったようでそのことに対し、納得がいかずご立腹されたことがなんとなく伝わってきた。そして、南氏に話せば話すほど先程の出来事が思い出されたようで熱く語り始め、田中は少々驚いたのだが、南氏はそんなお父様のことはフンフンと聞き流し、特に意見するでもなく、反論するでもなく聞いているだけだった。南氏のその対応が、端から見ていると絶妙なうまさで二人は良い組み合わせのように見えた。田中が近くにいるのにお構いなしで、もはや誰も止められないほどお父様はヒートアップし、少し前のスポーツジムでの出来事を延々と話されている。普段からこのような感じなのだろうか。南氏の受け流し方がとてもうまく、感心した。
それにしても、田中も同じ場にいるのにな・・ 田中は完全に蚊帳の外であった。
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